家庭機能不全とは

　うつ病、感情障害、不安障害、パーソナリティ障害など、精神的な障害の背景には、成育歴が重大な問題として絡んでいることが多々あります。特に境界性パーソナリティ障害（境界性人格障害）には、この「家庭機能不全」が大きく影響している臨床を数多く見ることができます。不適切な親子関係とは、過保護、過期待、過干渉などですが、これらは親が愛するがゆえに起こる不適切な関係です。これとは異なって、子どもにとっては全くかけ離れた関係で繰り返される親子関係というものがあります。家庭機能不全は、親が親として機能していない家庭の場合を指します。例えば父親が攻撃的で母親に対して暴力を振るうようなDVの場合が該当します。アルコール依存症の親がいる家庭、暴力的な父親がいて、その一方の親は、争いを避けるために黙り込みます。その親は、子どもに関心を持って健全に育てる状況ではありません。それだけでなく、じっと耐える一方の親の悩みを、子どもに吐出し、それを聞き続けた子どもは、親が仲良く暮らすにはどうしたら良いかに懸命になり、自分の欲求を持つことを放棄します。この苦痛な体験が心の傷となってしまいます。こうした例の家庭機能不全は、子供の心に深い傷跡を残してしまうのです。成人してからこの傷が極めて大きな不安を起こす基となります。

アサーショントレーニング３月２６日（日）理論編４回目